アメリカペンシルベニア州アレゲニー郡 社会福祉局に視察訪問を行いました

2025年4月に、アメリカペンシルベニア州アレゲニー郡 社会福祉局に現地訪問を行い、リスク予測モデル(Predictive Risk Modeling:以下、PRM)を活用した児童虐待予防活動の視察を行いました。
背景
日本では、2022年度から国の「こどもデータ連携」の取組みが開始され、こどもやその家庭のデータについて分野を越えて連携し、潜在的に支援が必要なこどもや家庭を把握して支援に繋げる取組みが推進されています。
弊社でも、こどもに関わる多機関のデータ連携や、PRM等を用いて潜在的なリスクを検知する「児童虐待予防システム」の開発を行い、2021年からは国の実証事業にて、広島県府中町様とともに実運用に向けた実証を進めてまいりました。
しかし、日本ではPRMを活用した児童虐待予防活動は試行段階であり、現場でPRMをどのように活用して支援に繋げていくかという具体的な方法は確立していません。
そこで、児童虐待におけるPRM活用の知見が深く、2020年からは虐待を未然に防止する”一次予防”を目的としてPRMを構築し、プッシュ型・アウトリーチ型の児童虐待予防活動(Hello Babyプロジェクト)を展開している、アメリカペンシルベニア州アレゲニー郡 社会福祉局の取組みを視察してまいりました。
視察先のご紹介
アレゲニー郡 社会福祉局(Department of Human Services:以下、DHS)は、2000年に郡の住民データを統合する大規模なデータウェアハウスを構築し、2018年には全米初である児童福祉分野でのPRM実装(Allegheny Family Screening Tool)を実現した、先駆的な存在として知られています。
そのような取組みを進める中、アレゲニー郡では過去の虐待死事例の検証を行った結果、児童虐待・ネグレクト関連の死亡・重篤な事故の約80%が3歳未満であり、またその約半数のケースでは事件が起こる前に児童福祉機関への通報や問題の報告がなく、介入の機会がなかったということが分かりました。
そこで、支援を必要とする世帯の早期発見・早期介入を行うために、2020年から「Hello Babyプロジェクト」を開始されました。
今回はHello Babyプロジェクトの実施主体であるDHSの皆様、家族支援を行う地域の支援団体であるHealthy Start、Family Check UP、Family Centerの皆様、またPA Child Advocacy Centerの皆様に貴重なお話を伺いながら、関連施設を訪問させていただきました。
Hello Babyプロジェクトの取組み内容詳細
2025年11月15日・16日に開催される「日本子ども虐待防止学会 第31回学術集会 ほっかいどう大会」で報告予定です。
※本視察に関する詳細・お問い合わせ等は、以下の専用フォームのURLをクリックしてご連絡ください。
専用フォーム:https://www.nck.co.jp/contact/cmp_contact/